チェコの国民的作家カレル・チャペック(1890〜1938)は、日本でも『お医者さんの話』などの絵本や、『園芸家の一年』といったエッセイの作者として知られ、戯曲『R.U.R.(ロボット)』で「ロボット」という言葉を最初に用いたことでも世界的に知られています。そして彼の著作の装丁や挿絵を手がけた画家で兄のヨゼフ・チャペックとともに、20世紀初頭、ふたつの大戦の狭間で華開いたチェコの文化を代表するその多彩な活動は、その後も世界に多くのファンを生み出してきました。 このカレル・チャペックが趣味として始めた写真は、身近な物やサボテンなどの植物から、文化人、旅行のスナップなど多岐にわたり、当時のチェコで最も有名なアマチュア写真家となりました。カレルが熱心に写真を撮ったのは、わずか3年間ほどに過ぎませんが、そのなかでも最もよく知られ、また人気のある写真作品は、1932年末に発表された『ダーシェンカ あるいは子犬の生活』であり、その本は、その後も再版を重ねることになりました。ここで使われた写真は、挿絵としてではなく、文章と同じ価値を持つ視覚的な記録として扱われています。 本展では、様々な表情を見せる愛犬「ダーシェンカ 」の写真を含めて、日常の情景を暖かな視線でとらえたカレル・チャペックの写真、約40点を展示いたします。 |
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